顕微鏡を用いた虫歯治療を行う利点は多々ありますが、ここでは大きく3つのポイントを御紹介します。
ただ、利点を生かすには当然の事ながら術者が自己流ではなく正確に手術用顕微鏡(マイクロスコープ)を扱う事が重要であり、さらに治療を動画撮影している事が重要であると考えています。
大事な3つのポイントとは
1.必要な部分しか削らない
2.確実な操作が可能
3.虫歯の取り残しがなく、歯の亀裂の補修も可能
虫歯を削除する際に重要なのが必要な部分しか削らない事です。ところが、この単純な事が肉眼では非常に難しいのです。
肉眼では虫歯なのかどうかを判定出来ない場合が多く存在し、再発リスクを低くするために疑わしい部分も含めて大きく歯を削るケースがあります。
虫歯を取り除いた後は、緊密に人工物を詰める必要がありますが、ここでも肉眼には大きな壁があります。
虫歯の修復材料の中には内部に気泡が入っていることがしばしばあります。この気泡の除去が重要でこれを怠ると詰め物を詰めた後に冷たいものや熱いものがしみる原因の一つになる。
また虫歯の再発リスクも高くなってしまうので注意が必要です。
虫歯治療で非常に重要な事が虫歯を取り残さない事だと考えています。
ところが、非常に小さな亀裂や凹みに虫歯が取り残されているを顕微鏡で発見する事が多くあります。
上記の3つのポイントをクリアしながら虫歯治療を行おうとした場合、肉眼では困難であると思われます。
虫歯菌に感染した部分を含め必要な部分だけを正確に短時間で削るためには手術用顕微鏡(マイクロスコープ)が当院では必須の器具となっています。
左上の写真では銀歯が詰めてあります。
外からは大きな穴も開いていませんし、銀歯が取れているわけでもありません。
しかし顕微鏡を使った検査の結果、虫歯がある事が確認できたので詰め物を外すことになりました。
実際に外したところ、右上の写真のように内部は虫歯が進行していました。
詰め物外れいていなかったのに内部で虫歯が進行した要因の一つは肉眼では虫歯の取り残しを最小限にすることが困難であることが考えられると思います。
虫歯の除去を進めていきますとより虫歯の規模が大きかった部分は外側から内側に及ぶ
ヒビが確認できました。
この一例のように虫歯の進行にはこのヒビも関与している場合があるのではないかと考えています。
このため、虫歯菌に感染した部位の除去のみならず、ヒビの修復を行うことも虫歯治療の重要なプロセスの一部だと考えています。
そのためには大きく拡大しながらヒビの見落としも少なくできる顕微鏡が私共には必要となっています。